タケオの霊カンボジア、タケオ州バチ地区のココス・パゴダでの出来事。4月のある朝、15歳の見習僧ソン・ブゥタは新しい建物の土台造りのために地面を掘っていた。2メートル程掘り返したところで、三体の白骨化した遺体を発見した。三体は色鮮やかな服を身に着けており、1970年代にポル・ポトによって殺された人々のものと思われた。 ソンは骨を拾って見せびらかし、他の見習僧の少年たちを怖がらせた。 その日の夕方、午後5時。ソンは高熱を発し、激しくうなされ始めた。僧たちはポル・ポトの犠牲者の霊がソンの身体に進入したのだと悟った。霊に取り憑かれたソンは、自分はニン・ヌアンという名の少女で、骨をもてあそんだ少年たちにとても怒っていると言った。 僧院長のケオ・コーサルは、ニンと名乗る少女に、遺体を決して汚さず、彼女のために祈ることを約束した。結局、ニンの霊はソンの身体を解放した。 ココス・パゴダで白骨が見つかるのは驚くには当たらない。この地はタケオ州でも最大の”キリング・フィールド”だった。クメール・ルージュによって殺された8000人もの人々が、今ではワット・ココス記念碑に眠っている。 … 「ここにはそこら中に霊魂が漂っています。私たちは彼らの安らかな眠りのために祈り、新しい土台を築かなくてはなりません。」と、僧院長のケオ・コーサルは言う。 「どうしてパゴダが殺戮の場に選ばれたのでしょう?不思議でなりません。聖なる場所で、どうして…。」 (2006年5月25日 カンボジア・デイリーから抜粋・意訳) ------- 話自体は珍しいものではないのですが、この記事のポイントはどうも結局「(見習僧が)霊に取り憑かれた」というところにあるらしいということ。さらにそれが、特にタブロイドでもない英字新聞の第一面に載っていたということに興味を引かれてしまいました。 時には「霊魂が存在して、それが怒っている、まだ成仏していない」と考えたほうが、一辺倒に「霊なんて存在しない」と考えるよりも、自然で心にしっくりくることがあります。こんなふうに。 カンボジアでは決して決して、土を掘ったりしないようにしよう…。 |